その昔、旅客機のコックピット撮影が許可されたことがありました。
ルフトハンザのフランクフルト空港行きです。成田からフランクフルトまでの12時間にコックピットで行われていることを撮影するものでした。
その時の印象的な出来事をお話したいと思います。
ルフトハンザ航空の全面協力で実現できた撮影でした。コックピットの中で行われていることは普段見られない場所ですから私も興味津々でした。離陸前の様子や航空管制との無線通信など、好きな人には非常に興味深いものだと思います。
大分昔の話ですが、乗客の1人が客席で小型CDプレーヤーの再生ボタンを押した瞬間に旅客機が右旋回を始めたことがありました。それ以来電波を発生する機器類の使用基準が決められて世界中の航空会社で運用されるようになりました。
特に旅客機のコックピットはとても敏感な場所で各種機器が集中しているところです。そこにカメラを持込むことは簡単ではありませんでした。機材からの電波を最小にするために電波シールド材ですべて包むことが決まりました。
乗客が乗る前にカメラをセットしてコックピットに残るスタッフは1名だけです。残りの6名は用意された席につき、あまり頻繁にコックピットに出入りすることは出来ないような雰囲気でした。
ですが、意外にもこの便の機長はとても協力的な人で、座席が1つ空いてるからもう1人入って良いよと、CAさんが伝言をしてくれました。それで相談の結果、私が中へ入ることになりました。
離陸前の様々なチェック、離陸準備のやり取りはとても面白く自分の眼でそれが見られたことが本当にラッキーだと私は考えていました。多くのチェックはキャプテン(機長)とコーパイ(副操縦士)のダブルチェックで確認されます。
離陸(テイクオフ)のリクエストを無線で伝え、滑走路(ランウェイ)が空くといよいよ離陸の瞬間です。加速され巨体が浮き上がります。離陸後はアッという間に町が小さくなりました。
通常、航空管制との会話は英語で話されます。機長が何か言いました。
すると管制官が返信で「NEGATIVE」と言いました。これは「認められない」という意味です。
するとドイツ人機長が日本語で言いました「私は日光中禅寺湖の紅葉をお客様に見せたいんです」機長の素晴らしいサービス精神です。
相手は航空管制官で国土交通省の職員で国家資格所有者です。しばらく間があり、機長の希望ルートへの変更が認められました。私はビックリして唖然としていました。こんな事が、こんなやり取りがされてるのか・・・。
日本の空を管理する東京航空交通管制部「Tokyo Control」は、薄暗くだだっ広い空間にレーダー機器が並んでいて数十名もの管制官が航空機をレーダーで管理しています。
毎日ラッシュ状態の航空機をここで捌いています。ミスがあれば大事故に直結するだけに管制官のストレスも大変なものでしょう。あまり知られていませんが大変重要な仕事ですね。
どんな仕事でも人間が関わることには「人間らしさ」が絡みます。それでほっとしたり笑顔になったりして、また仕事に戻る。そうでなければやってられないですよね〜。
それにしても外国人のパイロットは自由ですね。(笑)
航空管制に興味のある方は国土交通省の関連ページをどうぞ。
https://www.mlit.go.jp/koku/atc/work.html
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